ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

信じられないほど

眠い。

春眠暁を覚えずとはいうけれど、秋眠も暁を覚えないのでしょうか。

 

認めざるを得ないほど秋です。

朝晩ばかりではなく、日中にも上着を羽織らずにはいられなくなりました。肌色のストッキングも黒色のタイツに代わり、車で出かける際には、うすくヒーターをいれます。もっぱらの関心ごとは、いつタイヤ交換をするか。一昨年の初冬、夏タイヤの車を雪に埋めた前科があるのです。

 

雪の降り積もる北海道の左上。なにも、その年はじめての雪が高く積み上がるわけではありません。「根雪」という言葉があるように、降っては溶け、降っては溶けをくりかえしながら少しずつ気温が下がり、ある日降った雪が溶けなくなって、その雪がシーズンの「根雪」となり高く雪山ができるのです。一昨年は、この根雪が遅かった。朝や晩に降った雪は、日中にすっかり溶けてしまいました。わたしはこれに油断して、まだ大丈夫、あと少し、もう少しとタイヤ交換を先延ばしにするうちに、周囲の車はすっかり衣替えを終えていて、わたしの車だけ取り残されました。朝、寒い寒いと肩をさすりながら車に乗りこみ、会社の駐車場に停車させ、1日仕事をして、日が暮れたころ。

「あら、この雪は積もるわね」

誰かが、声をあげました。窓の外に目をやるも、何も見えません。何も見えないほど、静かに雪が降っていたのです。気づいたときにはすでに遅し。上司に「車移動禁止令」を出されて、わたしの車は2018年冬の根雪に埋まったのでした。

 

結局、わたしの眠気はかねてからの疲労に夜更かしを重ねた挙句、食後に襲いくる睡魔でした。夜9時30分に布団に入り、朝7時のアラームで起きると、昼食後に現れる仕事も手につかないほどの睡魔は、去って行きました。

 

しかし、冬は着実に忍び寄っています。

鮭が遡上の終盤を迎え、米が収穫され新米が出始め、遠くの山では初冠雪が観測されました。

認めざるを得ないほど、秋です。