日曜、朝イチ、がらがらのシネコン
大好きな監督の新作を見るために、映画館へ行きました。北海道の左上には、映画館がありません。片道2時間のバスに揺られて、札幌へ行きます。
これまで監督の作品は、ミニシアターでの上映でした。オレンジ色の照明が薄暗くて、椅子の座りがイマイチ悪くて、爆音に揺れそうなミニシアター。それはまさに「映画を浴びる」ひとときでした。けれど今作はシネコン上映。1日4本の上映回数は封切りから半月を経ると、1日1本、朝イチのスクリーンのみになりました。
朝、人のまばらなシネコン。
エレベーターで上階へあがります。同じビルのどのお店も開店前で、停まる階はありません。チケットカウンターは、お客さんよりスタッフさんのほうが多くて、マイクを通した呼びかけがなんだか滑稽でした。開場して、数あるスクリーンの迷路のなか、1番奥まった3番スクリーンへ。ふかふかの座面に、しっかりした背もたれ。頭まで預けられて、ミニシアターとは大違いです。
照明が一段落ちて、予告編が始まります。
音の大きさに驚くのは、光を放つスクリーンに目を細めるのは、最初だけ。腹に響く声や音楽、網膜に焼きつく映像が、わたしを映画の世界に沈めます。
涙が流れました。
まだ予告編。流れているのは、初めて見る映画のプロモーション映像ばかり。
けれど、日曜の朝1番に映画館へ足を運び、ガラガラのシネコンでチケットを買い、スクリーンを目前にふかふかの椅子に座って、大きな音と光に沈む。
わたしはこれから、大好きな監督の、大好きになるであろう映画を見る。
そう考えると、胸がいっぱいでした。