ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

わたしはできる

べこべこしてる。

走っていてわかるくらい、べこべこしていました。車ありきの生活で、毎日乗っています。すると特別な知識がなくとも不調に気づくものです。そういえばタイヤ交換の際、車屋さんが「左後ろのタイヤ、空気圧が下がりやすいですね」と言っていました。

タイヤゴムの性質から、少しずつ低下する空気圧。適正値に調節しておかないと、走りづらくなるそうです。多くのガソリンスタンドでは無料で点検してくれますが、わたしはいつもセルフスタンドをつかっていて、なんだか言い出しづらい気がしました。

最寄りのカーショップで、空気圧を調整する機械が店先にあり、自由に利用できるようになっていたのを思い出しました。

 

「空気圧  入れ方」と検索するとサイトも動画もたくさん出てきて、じっくり読んでじっくり見て、イメージトレーニング。よし。アパートの駐車場に停めた自分の車の運転席ドアを開いて、適正値を確認。よし。タイヤのバルブキャップを見て、開閉。よし。いざ、空気圧調整。

 

長いスカートの裾をひらひらさせて、揺れるピアスをきらきらさせて、無骨な空気圧調整機を操るわたしは、さぞ珍妙だったことでしょう。でも、わたしはできるのです。

 

実家にいれば、父がやってくれました。彼氏がいたときは、彼氏に相談しました。けれど、いまは1人。たまの休日、快晴の昼下がりに「タイヤの空気圧の調整方法を教えて」と呼び出せる人を、わたしは持ち合わせていません。

 

ずいぶんと、1人で生きられるようになってきました。

20代半ば、まだまだ子どもと思っていたけれど、どうやら、1人で暮らす術を着々と身につけているようです。

 

誰かとともに生きたくないわけではないけれど。いつでもどこか寂しくて、誰かに寄りかかりたいと思っているけれど、何もできないわけじゃない。気持ちと暮らしは、また別のおはなし。わたしは、できる。