くるま
車を買い替えました。
社会人1年目、1人暮らしの地は車なしに生活なんてできない北海道の左上。大学卒業とともに10年落ちの中古車を買いました。
前に乗っていた人がきちんとされていたらしく中も外も綺麗でしたが、クーラーが壊れていることに1年目の夏に気づき、エンジンオイルの減りがはやいと整備士さんから言われたのがその年の秋、タイヤの空気圧は夏も冬も減りやすく、3年目の冬からボボボと排気音が喧しくなりました。そうして迎えた社会人4年目の車検。このまま乗り続けるのは得策ではないということで、実家の車を買い受けました。
父が気に入って新車購入した軽自動車。購入から4年たっているけれど、乗り心地がよく燃費がよく使い勝手もよい車です。移動さえできればよしと頓着がなかったぶん、車のよさに驚き。
だって、車両入替のために実家まで走った、4年連れ添った車とのラストランも、特別な感慨などなかったのです。
はじめて高速道路に乗って、道南の実家から北海道の左上へ走る道中、緊張しつづけてひどい肩こりをしました。
銀行の狭い駐車場からでるとき、車体感覚が鈍くせりだした電柱にゴリゴリとぶつけました。
仕事終わりに駐車場へでてみると覚えもないパンクをしていて、保険会社のロードサービスが来るまで後部座席のドアから足を投げだし寝ていました。
うまくいかない仕事終わり、めいっぱいあげたカーステレオの音量に負けないよう歌いながら、涙を殺しました。
なんだか帰りたくない夜、海やら山やら街中やら、あてもなく車を走らせて音楽を聴きました。
稚内に行きました。襟裳に行きました。小樽にに行きました。網走に行きました。大沼に行きました。
社会人になったわたしの不安定な暮らしを最も近くで支えたのは、あの車でした。そう考えると、やっぱりちょっと、寂しい気がします。