ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

ご趣味は

文章を書いて、映画を見る。

ドライブに行って、音楽を聞く。

好きなことを好きなように好きなだけする。

そうすると、わたしの「好きなこと」が醸成されて、もっともっと輝かしく尊いものになるのです。

 

興味をひかれると、とことん追求するタイプのわたしは、好きなこと1つ1つについてまるで原石を磨くように、大事に少しずつ興味を深めます。より多くの作品に触れ、自分なりの感想を言葉にして、次へ、次へとつなげる。そうすることで、対象についてより深く近づける気がして、でもまだまだ決着点は見えなくて、その果てしない距離に、胸がどきどきと高鳴ります。

わたしには「趣味」があります。

 

これまでわたしは、「趣味」に当てはまる事柄がありませんでした。「好きなこと」はあるけれど、なぜ好きなのか、どれほど好きなのか、どうしていきたいのか、と話ができるかといえばそうではなくて、それらはただぼんやりと、日常生活において時間を潰すツールにすぎませんでした。

 

「ご趣味は?」

という質問に、みんなずいぶん漠然と答えます。

映画鑑賞です。へえ、どのような映画を?

音楽鑑賞です。へえ、どのような音楽を?

ドライブです。へえ、どのような場所へ?

共通の趣味が嬉しくて、わたしは質問するけれど、質問すればするほど相手の口数は少なく、やっとのようにして言葉を紡ぎます。好きなことって、ましてそれが高じた趣味って、他人の目から見て羨ましいほどにきらきら光っているものなんじゃないかしら。

 

好きという気持ちに素直に、率直に向きあって。

向きあっていくうちに、もっと、もっととのめりこんで。

そうして手にした「趣味」はきっと、日常を彩る、輝かしく尊いものであるはずです。