ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

「すこしふしぎ」からの卒業

今週のお題「SFといえば」

 

映画が好きです。

わたしにとってSFは「すこしふしぎ」なお話でした。はじめて観た映画がドラえもんだったので、ずっとその「すこしふしぎ」ワールドのなかにいます。往年の名作バック・トゥ・ザ・フューチャーE.T.は日常の延長戦にある少し不思議な物語だし、TENETで話題になったクリストファー・ノーラン作品も上質なSFでありながらどこかアクションストーリーのような気持ちで観ています。だからわたしのSFは「すこしふしぎ」から抜け出すことがありませんでした。

 

素晴らしい映画に出会いました。

二転三転するストーリーと、日本が誇る繊細なアニメーション、素晴らしい音楽の融合に面食らいました。これは話題になるぞと思って発表年を観たら、1年半前に公開済み。噂すら聞きませんでした。

 

おそらく、想像以上にSFだったから世間の評判が振るわなかったのだと思います。「すこしふしぎ」ではなくscience fiction。本物のSFでした。「すこしふしぎ」なSFに慣れ親しんだわたしでさえ、これがSFかと感嘆しました。

 

日本にはSFアニメーション映画が数多くあります。ドラえもんをはじめ、幼いころからSFに触れています。でもそれは「すこしふしぎ」なSF作品。夢と希望にあふれ、近い将来にはこの画面の向こうの出来事が現実になるんじゃないかという期待をはらませた、少し不思議なアニメの世界。だからでしょうか、本物のSFと出会うと、なんだか知ってるSFと違う気がします。

 

二転三転するストーリー。

難解な未来社会の事情。

何通りにもとらえられる解釈。

そのなかで、生き生きと純粋な登場人物たち。

 

わたしたちは「すこしふしぎ」から卒業して、science fictionを受け入れてもいいのかもしれません。