ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

プロモーションの失敗

「”どれみちゃん”に会いたかったのに」

映画を観ると、必ず評点してレビューを書きます。映画を観るようになって、そこにお酒がつくと、過去に見た映画を再び見てしまうことがあり、それを防止するのです。映画鑑賞アプリを、自分のレビューはもちろん他の人のレビューも見るなどして興味深く活用しています。

 

その日見た映画は「魔女見習いをさがして」。20年前にテレビ放送されていたアニメ「おジャ魔女どれみ」のスピンオフ映画で、どれみちゃんをきっかけに出会った女性たちが、どれみちゃんに勇気をもらって人生を切り拓くストーリーです。

どれみちゃんをリアルタイムで観ていたわたしは、当時を彷彿とさせる作画やアニメーション、音楽にすぐに引き込まれました。登場する女性らの恋や仕事や人生の悩みに共感し、魔法がなくても自分の力でなりたい自分になるというストーリーが美しく感じられました。特に、どれみちゃんたちが登場するシーンではぼろぼろに泣いて、ぐちゃぐちゃになった顔で映画鑑賞アプリのレビュー欄を見て、びっくり。

「”どれみちゃん”に会いたかったのに」

「主人公たちの成長に、どれみちゃんは関係ないのでは」

賛否両論でした。まあ、低評価の理由もわかります。たしかに、「どれみちゃん」本人らの登場シーンは少なく、要素の薄い作品だったかもしれません。でも、本作は「おジャ魔女どれみ」ではなく「魔女見習いをさがして」であり、主人公はどれみちゃんではなく、どれみちゃんを観て育った女性たちなのです。それを理解せずに映画を観て、「こんなはずじゃなかった」はずいぶんお門違いな話ではないでしょうか。予告動画や事前プロモーションのイメージと異なるから低評価をつけるのは、大変残念なことに思うのです。

 

確かに、期待していたものとは違った。けれど、映画本編を確立された作品として観た面白いところ、面白くないところを評価すべきです。最近映画を観ていて、「面白いのになぜ世間の評価が低いのだろう」と思う作品の多くはこの傾向にあります。ネット社会になり、SNSが発達して、情報拡散が多様に、容易くなったことの弊害でしょう。もったいない。もっと「映画」そのものを評価してほしい。

わたしはこれを「プロモーションの失敗」と呼んで、静かに唇を噛むのでした。

 


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