ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

みんながわたしを好きだもの

自己肯定感とは。

自らの在り方を積極的に評価したり、価値や存在意義を肯定したりする感情のことです。たとえば、会議室にギリギリ駆け込んで上司と目があったとき、「ギリギリに到着したことを咎められる」と考えるか、「これから行うプレゼンを期待されている」と考えるかは、自己肯定感の高さによります。

 

 

ある日、先輩と話していて。

わたしは少し、俯いていました。先輩がこちらをまっすぐ見ているのが、おでこのあたりに突き刺さる視線からわかります。

「そんなことしたら…」

どんな目で見られるかわからないでしょう。

わたしの言葉を飲みこむように、先輩は言いました。

「だって、みんながわたしを好きだもの。だから、何をしても応援してくれるはずよ。」

驚きに、パッと頭が持ち上がりました。先輩は、事もなげな顔でわたしを見ています。

 

たしかに、周囲の目がどのように向けられるかなんて、行動してみないとわかりません。先輩が言うように、応援してくれることだって一可能性。ただわたしは、ネガティブな未来を想像して足踏みをするのでした。先輩は、ポジティブな未来を信じきっていました。

 

彼女の、自身を貫く強固な自我は、いつどこでだれに育てられたのでしょう。わたしだって、いつかどこかで様々な方に育てられたからこそ、今こうして地に足をつけて立っています。けれど、彼女はわたしよりよっぽど強く、それでいて柔軟に立っているのです。吹いたら飛んでしまいそうだけれど、自分の意思なしでは飛び立たないぞとでもいうように、彼女の立ち姿は随分美しく感じられました。

 

でも、わたしは、どうしたって

「そんなことしたら、どんな目で見られるかわからないでしょう。」

と考えずにはおれません。彼女が美しいと思うのと、それを実践するのでは別。ただ、

「みんながわたしを好きだもの」

という気持ちは、大切にしたいと思いました。