ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

おしまい

正月ボケから、やっと抜け出しました。

正月休みをいただいた約1週間。父と2人、テレビの前に陣取って朝から晩までだらだらとお酒を飲んでいたら、人らしい生活をすっかり忘れてしまいました。

朝の布団の誘惑に勝てず、いつもの通勤鞄はなんだか重たく、デスクワークはすぐに肩こりして、同僚の笑い声はどこか遠く、やっとの思いで帰宅してもストーブの前にうずくまり1時間。きちんと化粧を落として眠るだけで100点です。そんな毎日を、かれこれ半月。これではいけない、いけないと思うたびに身体は重たくなり、ズルズルと引きずるようにして暮らした半月は、けっして短くありませんでした。

 

終わりは急にやってきました。

それはたぶん、真っ青なお天気の日に、1日中家にとじこもって、ストレッチをして、ゆっくりお風呂につかったせい。おひさまの光にあふれた冬の部屋はじんわり暖かく、身体の内側まであたためました。手足を動かすとうっすら汗がにじんで、ぐ、とのばした肩甲骨が、心地良い刺激をビリビリさせます。いただきものの柚子の入浴剤をいれたぬるめの湯に浸かりながら、家を建てるなら浴室には明かりとりの窓をつけるぞと、決めました。

 

翌日も、よく晴れていました。

ただし風は強くて、玄関扉を開けたわたしの頬を文句なしにぶちます。ゆっくり開いた目には、朝日をうける雪がきらきらして、さわやかな青をしていました。

その青を見たとき、「あっ、終わったんだ」と思いました。わたしの、長い長い正月ボケ。

 

あいかわらず朝は布団が恋しいし、肩はこるし、帰宅後1時間はストーブの前から動けません。

でも、日の明かりや雪の色を美しいと思い、こうして文章を書き、友だちとワハハと笑っています。だから、わたしの1年はようやく動き出したのです。はじまりはじまり。