ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

わたしたちの友情は

「ひさしぶり〜」

なんとか仕事を終わらせて、急いで帰宅しオンラインミーティングサービスに接続すると、半年ぶりの顔ぶれ。いえ、まなの結婚式以来一同に会すことはなかったから、1年ぶりでしょうか。4人みんな、すでに画面に向かってひととおり近況報告を終えているようでした。

「…お酒飲んでいい?」

あまりお酒を飲むメンバーではないので、参加するまでは迷っていた飲酒ですが、参加5分で耐えきれずにタブを引きました。わたしたちの友情は、アルコールなしでは語れないのです。

 

出会いは大学でした。同じ学科に入学したわたしたち4人は、1番最初のガイダンスで近い席に座っていました。そのまま大学生活4年間を過ごし、卒業してもなお関係が続いています。…続いていると言って良いかはわかりませんが。

 

「まきちゃんは仕事どう?」

「まなは転勤ないの?」

「さえ、結婚おめでとう〜!」

気がついたら、わたしばかりが話しています。誰かが会話を扇動しなければ、このオンラインミーティングは音をなくしてしまうのです。わたしたちの友情は、なんだかどうしてちぐはぐでした。

 

1対1で会ったらそんなことはありません。実際、まきちゃんやまなはこの1年間に何度か2人で遊びました。けれど、4人集まるとどうでしょう。それぞれに考え方があって生き方があって、どうにもそれがちょうどよく交わるゾーンが限りなくゼロなのでした。誰かの話を深掘りすれば誰かが置いてけぼりだし、誰かが熱く語りだせば誰かがポカンとしているのでした。よくこの関係を10年近く維持しているなと思います。おそらく、わたしたちが心理学生であったことに一因あるのでは、と考えたりします。

 

結局、2時間と少し程度話をして解散。わたしは真っ暗になったブラウザを眺めながら、ひきつづきお酒を煽ります。わたしたちの友情は、アルコールなしではやりきれないのです。