ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

彼女のせい

「…?」

朝起きて、見渡す室内。ソファの上に横たわるわたし、机の上は飲み会の痕跡。グラスは2つあるのに、室内にはわたしだけ。

「またやってしまった…」

 

最近、自宅で飲み会をしてそのまま寝落ちしてしまうことがあります。楽しく飲んで、楽しかった記憶をそのままに、気付くと1人で朝を迎えています。飲んでいるうちに寝落ちするなんて、お酒を飲み始めて6年、1度だってありませんでした。ましてや自宅。家主がまっさきに離脱するなんてカッコ悪いこと、わたし自身が許しません。原因はわかっています。ぜんぶ彼女のせいなのです。

 

この1年くらいで急激に仲良くなった彼女。彼女との飲み会は、眉根を寄せる真面目なはなしから馬鹿げた恋愛話までさまざまで、このまま永遠にお酒片手に笑い転げていたいと思います。多人数だろうが2人きりだろうが会話は尽きず、この夜が終わってほしくないと思います。でも、眠気と朝が、確実に忍び寄ります。その気配をひしひしと感じるけれど、知らないふりをして笑っていると、気付いたら朝。彼女は電気を消して、玄関の鍵を外からかけて、ポストに入れて帰ったあと。それを悟ったときの寂しさは、昨夜の楽しさに比例します。

 

昨日もまた、そんな夜でした。

彼女との時間が楽しくて、終わってほしくなくて、帰ってほしくなくて。気付いたら朝。

だから、飲んでいるうちに寝落ちしてお見送りもできないなんてカッコ悪いことは、彼女のせいなのです。