ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

それほどわたしたちは

「ラーメン行こうよ」

飲み会。お店で飲んで、別れがたくて、わたしのうちに転がり込んだ二次会。夜はもう日付を変えていて、会話に飛び交う声はどれも呂律が怪しくふわふわしています。惰性で口に運ぶコップは結露でベシャベシャで、よくわからない味のするお酒をクンと流しこみました。

「ラーメンって、どこ?」

「この時間なら町外れのチェーン店じゃない?」

「あそこね!なんか男っぽいイメージあるから入りづらいんだよね」

「わかるわかる!女子でも入っていいじゃんね」

高く、浮き足立つ声。まさか平日の深夜1時に、しこたま飲んだ〆で、歩いて30分はかかるチェーン店でラーメンなんて、実行する気持ちは20%くらい。でも、誰かが「じゃあ行こうよ!」と腰を上げたら「本気で言ってんの!?」なんてこぼしながらついていってしまうかもしれません。それほどわたしたちは酔っていました。

 

「じゃあ来週行こうよ」

「ラーメンの会?」

「女子だけでラーメン食べる会」

「いいねいいね!」

次回の約束をして、解散。じゃあね、またね、来週ね。そうして空っぽになった部屋。電気を消してベッドへ倒れ込みました。

 

朝。最近、深い時間まで飲んでも遅刻しないギリギリの時間に目を覚ますスキルを身につけました。携帯を見るとラインの通知。

「なぜかめちゃくちゃスッキリ起きれた」

5時起きだと言いながら帰っていった彼女。

「わたしも」

返信しながら、さあ、出社の準備。テーブルの上は昨夜のままのおつまみやコップが雑然として、わたしが使っていたコップも、フチまでなみなみと液体を残していました。ちょっともったいない気がして、口をつけます。啜って、シンクに中身をぶちまけました。濃すぎ。そういえば、隣に座っていた彼女が、お酒を注ぎながらやばい、入れすぎた、なんて言っていたのを思い出します。けれどわたしは、昨夜これを喉に流し込んでいたのです。それほどわたしたちは酔っていました。