ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

荷解き

お出かけから帰ってきて荷解きをするとき、なんだか心がすっからかんになる気がします。

寂しい、とはどこか違う。思い出に浸るのでもない。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた荷物を片っ端から納めるべき場所に納めて綺麗になっていくことには心地良い感覚があるのに、それ以外の感情を忘れてしまったような気持ちです。

ポーチに押し込んだメイク道具をメイクボックスにしまって、衣類を洗濯機へ、靴は靴箱へ。暇なときに読もうと詰めた本を枕元の山に戻し、キャリーケースの底から水着が見つかったときには、笑ってしまいました。わたしは一体、何泊の旅行を予定していたのでしょう。

 

お盆を機に実家へ帰りました。5ヶ月ぶりの帰省。以前はなんだかんだと理由をつけて、3ヶ月間隔ほどで訪れていた実家ですが、最近めっきり忙しくなって、時間を作れずにいました。だから、久しぶりの我が家。家族がいて、犬と猫がいて、美味しいごはんとあたたかい寝床のある家。4日間のお休みは、わたしの気分を高揚させました。

お土産は何を買おう。

家族と出かけるかもしれない、サンダルとスニーカー両方持って行こう。

もしかしたらプールに行くかもしれない、夏だもんね。

このまえ買った服、様子を見て欲しいから持って行こう。

みんな忙しくて構ってくれないかもしれない、そうなったら読まずに積んだままになっていた本を読もう。

みるみるうちに荷物は膨れて、キャリーケースの他に大きな紙袋が2つ。

結局、スニーカーが日の目を浴びることはなかったし、水着は濡れることなく、読まずにいた本も読まないまま。それらを一つ一つ荷解きして、出かける前にあった定位置に戻します。わたしはどれほど、この帰省を楽しみにしていたのでしょう。余分な荷物が物語ます。すっからかんになった心に、なんだか涼しい風が吹くかんじがして、ひとりの部屋でちょっと笑いました。