ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

うちの女って

 「あいちゃんって、うちの家系にいないタイプの女の子よね」

久しぶりに会った親戚のおばさんに言われました。母の妹です。母は三姉妹の長女でわたしと妹の姉妹を産み、おばさんは三姉妹の末っ子で男2人兄弟を産みました。歳の近い従兄弟たちとは、長い休みに祖父母の家を訪れてはごっこ遊びやゲームをしましたが、従兄弟のうち兄が中学に入ったあたりから付き合いが悪くなり、わたしたちも部活やら勉強やらで祖父母の家に訪れる機会が減るうちに、なんだか疎遠になっていました。

けれどおばさんはいつでも気さくに話しかけてくれます。

部活はどう?勉強は?そのお洋服かわいいね。

いつの間にかわたしたち姉妹は、従兄弟よりおばさんとおしゃべりに花を咲かせるようになりました。

 

今年、コロナ禍もあり1年ぶりにおばさんと会いました。

おばさんはまったく変わっていなくて、小柄な身体にくるくるとパーマをかけたボブヘア、眩しい笑顔。変わっているのは、こんがり日に焼けた肌の色くらい。

いつものようにおしゃべりしていると、おばさんがわたしの顔をまじまじと見て言いました。

「あいちゃんって、うちの家計にいないタイプの女の子よね」

はて。

わたしと妹は顔を見合わせます。

「ふわっとしていて、優しい雰囲気。うちの女って強いじゃない」

わたしと妹の頭の上には、ますます大きなはてなマーク。

確かに、母とおばさんを含めた三姉妹に、祖母と、わたし妹の姉妹。女系の強い一族だけれど、その言葉は納得いかないと言うように、妹がふん、と鼻を鳴らしました。

「お姉ちゃんが一番強いよ」

それはきっと、褒め言葉ではありません。でもこればっかりは、わたしも深く頷いたのでした。祖母や親戚の間ではずいぶん他所行きの顔をしていて、しかもそれが違和感なく受け入れられていることに、喜べばいいのか悲しめばいいのか。妹の言葉に、わたしは「ふふ」と笑っただけでした。