ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

暮らしを人生にする音楽

朝。いつものように起きて身支度を整えます。窓の外から聞こえる鳥の声が、よく晴れていることを知らせます。車通りが穏やかなのか、エンジン音は遠く、隣人が起き出した気配もありません。世間は休日でも、わたしは平日。肌寒くなってきたこの頃、やっとの思いでベッドから這い出して、一杯の水とラジオ体操。シャワーを浴びながら、きょうの予定を組み立てます。出勤して、仕事。お客さん、少ないといいなあ。天気がいいから、みんな出かけているかも。夕方、仕事を終えたら買い物に。冷蔵庫がすっからかんです。帰ってきたら掃除をして、少し料理。このとき、飲酒が許されます。1日を思って、長いため息。風呂場を出ると肌寒くて、タオルを巻きつけすぐに居間へ移動します。幸いなことに、我が家の居間は日当たりが最高なのでした。

 

軽く朝食を済ませ、ドライヤーをかけて、歯を磨いて、化粧。時計を確認するとすでに出なければならない時間で、荷物を取り上げ玄関の鍵をかけて車に乗り込みます。シートベルトをしめて、エンジンをかけ、カーステレオを入れると、音楽がかかりました。

見た映画の挿入歌や主題歌を集めたプレイリスト。ロックやポップス、新しい曲から古い曲まで、あの映画のそのシーンでかかった様々な曲がランダムで流れ出します。

 

ひときわ美しいサウンドに、ざらざらとした気持ちが撫でつけられました。

 

陽光は眩しく、鳥の声は綺麗に、木々の色は鮮やかに映ります。肌寒い秋の風も清々しく、鬱屈した感情をさらっていくようです。何気ない「暮らし」を、美しい「人生」の1ページにする音楽があります。それはまるで、映画のように。この前見た洋画のあのシーン。秋風を受けて、静かな山道、車を走らせる彼女。信号の多い住宅街、向かうのは職場だけれど、わたしのこの朝もまた、人生のワンシーンなのでした。

 

Anthem

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