ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

恋から愛になった

「いいんですか?」で出会ったRADWIMPS。中学生のときでした。テレビで放送されるようなメジャーソングしか聞いたことのなかったわたしには、衝撃でした。「あなたといる意味を探したら、明日を生きる答えになったよ」とか、「2秒前までの自殺志願者を君は永久幸福論者に変えてくれた」とか、文学的かつ一生懸命なラブソングを、わたしは聞いたことがありませんでした。ボーカルの野田さんは「好き」の表現を一体何千通り持っているんだろうと敬服したものです。

もちろん、思春期の胸を強く打たれました。全身で「君が好きだ」と歌う彼らは、恋愛未経験だったわたしに、恋への憧れをより強くさせました。

 

あれから13年。わたしの日々はRADWIMPSと共にありました。デビュー15周年記念ボックスが発売されて、初回限定版は1万6千円と知り、スカスカのお財布を睨みながらも購入ボタンを押したのは言うまでもありません。13年間支えてくれた彼らに、お礼をしなければなりません。

 

歌詞カード片手にアルバム1枚を通し聞きしました。そうするのは、実に13年ぶり。こんなにじっくり彼らと向き合うのは、出会いたてのあの頃以来でした。

そう考えると、彼らは変わりました。

「あなたが死ぬそのまさに一日前に、僕の息を止めてください」とか、「僕は僕で君は君。その間には無限にあるはずだよ、二人だけの公約数」とか、彼らの恋愛は一方向的でした。恋であり、溢れる想いを伝えるための歌でした。けれど、15年を経た彼らの歌は「君の大丈夫になりたい」とか、「君と二人ならば見つけられる気がしたんだ。僕は君のを、君は僕のを」とか、大切な誰かと共にあるための、支えるための決意でした。愛でした。

 

愛になった彼らの歌を聞くのがちょっとツライと感じてしまう今のわたしは、けれどやっぱり、RADWIMPSと共にあります。15周年、おめでとう。