甘えたい朝からはじまる一日
甘えたい。
誰かに、恥も外聞もなく思いっきり甘やかされたい。
もしくは、もふもふしたやわらかいものの腹に顔を埋めたい。
朝起きて、こう思ってしまったらもうその日はダメです。やらなければならないことは一向に進まないし、視界の端のベッドがやたら目について、瞼が重たく下がってきます。なんとか必要最低限のことだけをして家を出ました。
単純に、疲れているのです。
冬の終わりに、新卒で5年働いた会社を辞めました。春の初めに、新しいことを始めました。仕事と呼ぶにはまだまだ覚束なくて、それでも頑張って、どうにか仕事にしていきたいこと。そのさきで、やりたいこと。
一応きちんと計画をたてていて、焦っても仕方がないのだけれど、それでもやっぱりあっちもこっちもと手をつけていっぱいいっぱいになっています。自分でも、わかっています。
幸い周囲が応援してくれて、これまでの会社やらお世話になっている焼き鳥屋やらでアルバイトをして最低限のお金を稼いでいます。その日も会社に行って、終わるころには水彩絵の具を引いたような夕焼け空でした。
このあとは、友人とコワーキング会。
やらなければならないことを、仕事終わりに1人だとできないので、集まって一緒にやろうという週に1度の集まり。でも、どうにも気が向きません。
食欲もないので適当に何か買ってきてくれるように頼んで、やらなければならないことの残りカスを片付けながら、友人を待ちます。気力がずるずると抜け落ちて、抜けたところに不安がするすると溜まって、何も手につかない気分。もう、ダメな気分です。
そこへ友人がごはんを持って来ました。
ダラダラと喋って、食べて。
ああ、わたしはお腹がすいていたんだと気付きました。不安の溜まっていたところに食べ物が収まって、お喋りの合間の呼吸で気力を吸い戻したようでした。
なんだか、頑張れる気がしました。