ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

Running Up That Hill

気になった曲の歌詞を調べることがあります。

インスタグラムのリールをぼんやりと眺めていて、目に留まった動画。バックに流れている女性シンガーの歌声に心惹かれました。ハスキーで、一言一句大事にするように歌われる単語は英語でした。曲名を調べ、和訳を検索します。

 

あのね、もしできるなら
神様にお願いして 

お互いの体と心を

入れ替えてもらいたい
そうすれば今頃は
あの道でも
あの丘でも
あのビルディングでも
駆け上がれるはずだから
もし願いさえ叶うなら

 

お互いの体と心を入れ替えて?

調べると、イングランドのシンガーソングライター・Kate Bushが男女それぞれに決められている役割や誤解を疑問に感じ、身体さえ交換すれば、もっとお互いを理解できるのではないかと歌ったそうです。

 

昨今のフェミニズム抗争のようだな、と思ってすぐに、この歌が生まれた時代は、いま以上に性差があったのだと思いなおしました。そして、それは男だの女だのに限った話ではないと思いました。

 

やりたいことをやりたくて会社を辞めたわたしに「最近どう?仕事、決まった?」ときくように。

30歳を目前にして、1人ふらふらしているわたしに「彼氏いないの?結婚願望は?」ときくように。

わたしのためを想って、良かれと思って気にかけてくれるあの人だからこそ、体と心をを入れ替えて、そしたら、わたしの気持ちがわかるのでしょうか。この、焦燥のような希望のような、浮き足立ちながらも後ろ髪を強く引かれるような感覚を理解してくれるでしょうか。

 

もしも願いがかなうなら
あの丘を駆け上がってみたい
そして願いがかなったら
あの丘だって駆け上がれる

 

そんなこと絶対にありえないから、こんなに素晴らしい歌声が生まれるのだと思います。