ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

コロナだった

コロナでした。

熱が出て、喉が痛くて、咳が出て、食べ物の味がわからなくなりました。生死の境をさまようほどではなかったけれど、さまよえないからこそツラい。2日ほど記憶がありません。1日中寝てました。仕事もせず、化粧もせず、着替えず、布団から出ず、ベッドから起き上がるのはトイレのときくらい。その生活を、実家でしました。ちょうどお盆休みの帰省のタイミングだったのです。

 

ひさしぶりに実家で長い時間を過ごしました。

発症までの3日プラス、療養期間の10日間。大学1年生以来でしょうか。授業がなく、バイトもなく、友だちもおらず、時間を持て余した大学1年生の夏。9年前の夏。

 

あのころから、わたしは変わりました。バイト先のことを思い、パソコン1台あればできる仕事に追われ、何も知らない友だちから「明日の夜ひま?」と連絡がきます。そして、実家はあのときから変わりません。

 

コロナの症状でしょうか。なぜわたしは、バイト先のことを思い、パソコン1台あればできる仕事に追われ、何も知らない友だちから「明日の夜ひま?」と連絡がきているのかわかりません。自宅療養で家にいる家族が、朝から晩まで映画を見たり、飼い犬と戯れたり、何も気にせずに眠っているのを見て、わたしもそうありたいと思います。そう言うと、「あなたが選んだ道でしょう」とたしなめられます。たしかに、それはそう。

 

やる気が起きず、いたずらな不安感で押しつぶされそうで、それでいてずっと毛布にくるまっていたい気持ち。コロナの症状でしょうか。療養期間の終了まであと1日。明日を終えたら、コロナ前のわたしに戻るのでしょうか。戻ってくれないと困ります。でも、戻ってほしくない気もします。療養期間の終了まで、あと1日。