ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

フェミニズム

「たぶん、男の先輩相手ならこんな言い方しないんだよ」

 

世のフェミニズム論争を耳にするたび、どこか他人事でした。女性に対する差別や不平等の解消を主張するフェミニズム。わたしも一応女なので共感することもありますが、現代はずいぶん生きやすいと思います。

男性に混じって学校に行き、男性よりも委員長やらリーダーやらに立候補して、男性のなかで意見を言ってきました。その良し悪しはいま置いておいていただきたいのですが、生きづらいと思ったことはありません。たしかに都会や大きな組織に所属する女性は男女間の差に悩むこともあるのでしょうが、北海道の左上、片田舎でやりたいようにやるわたしの暮らしには無縁でした。

 

「ちょっとこれ、どう思います?」

問題は、1通のメッセージ。わたしはそれを1つ年上の男友だちから受け取って、承伏しかねていました。2年ほど前から開催していた、わたしたちの主催イベント。それに関する確認の返信が、ずいぶんと横柄で高圧的に感じられたのです。

「わたしの言い方も悪かったのかもしれないけど、なんでこんな強い言い方されなきゃならないんですかね?」

わたしが相談すると、事の経緯となるメッセージを上から下まで眺めた友だちが、ふむと唸って、もごもごと口を動かしたあと、ゆっくり開きました。

「たぶん、男の先輩相手ならこんな言い方しないんだよ」

わたしはずいぶん間抜けな顔をしていたでしょう。

「つまり、わたしが女だからこんな言い方をされると…?」

友だちは焦って「わかんないけどね!」と付け加えましたが、まあ、そういう可能性を提案するということは、まったくありえない話ではないのでしょう。

 

この令和の世に。

こんな田舎に。

歳なんて1つしか違わないのに。

2年も一緒にやってきたのに。

フェミニズムはどこか他人事。それを声高に主張する彼女らの気持ちはわかりかねますが、それでもわたしは、このときたしかに高くなにかを叫びたくなりました。