ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

コインランドリー・ストーリー

今週のお題「最近洗ったもの」

 

冬に使っていた毛布や布団カバーを洗いました。我が家の物干し竿ではそれらをいっぺんに干すことができないので、コインランドリーへ。コインランドリーデビューです。

 

日曜日、午後7時30分。店内に人はいないけれど、大型の洗濯乾燥機が3台、ごうんごうんと回っています。乾燥専用機も2台がぶんぶんいっていました。

勝手がわからず、説明書きを熟読してプリペイドカードを購入。そのほうがお得なようです。大型洗濯乾燥機に自宅から運び込んだ毛布2枚、布団カバー1枚、こたつ布団1枚を入れました。この冬のわたしの暖を守ってくれた彼らに感謝。それから、コースを選んでスタートボタンをオン。しばらくごうごうと空回りしていた機内には、やがて水が散り、音も動きも大きくなります。これで40分待てば、洗濯完了というわけです。

 

待ち時間に仕事をしようとPCを持ってきたのですが、どうやらコロナ対策で、待ち時間を過ごせる椅子が撤去されているようです。仕方がないので店前に停めた車に戻りました。

 

さきほどから降り出した雨は勢いを強めて、フロントガラスを濡らします。ざあざあと当たって弾ける水滴を見ていると、まるで洗濯機に放りこまれた洗濯物のような気分。だんだん暗くなる景色のなかで、煌々と明るいコインランドリーだけが浮かんでいました。眺めているうちに、人影が現れます。

 

わたしがもたもた洗濯準備をしているあいだはひとっこひとりいなかったのに、今はさまざまな人が洗濯物を抱えてやってきます。

小さな男の子の手をひいたお父さん。

1人暮らしであろう若い男性。

40代くらいの娘さんと、そのお母さん。

 

わたしがもしあそこでPCを開いていたら、もしもう少し遅くに入店していたら、彼らと鉢合わせしたのでしょうか。もしかしたら、言葉を交わしていたかもしれません。あの限られた空間に人が居合わせて、40分は長すぎます。コミュニケーションが生まれてしかるべきです。どこからともなく現れて、どこか街の中へ消えていく彼らと、物語が起こっていたかもしれません。コインランドリー・ストーリーに想いを馳せているうちに40分がたち、再び入店したときには、みんな帰ったあとでした。1人きりのコインランドリーで洗い上がりのふかふか寝具を抱え、家路に着きました。雨はすっかり、上がっていました。