ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

出張だけど旅

「JRまで少し時間がある」

朝イチでランドマークになっている建物を見て、お土産を買って、市場を見て、駅前のコワーキングスペースで休憩がてらに仕事をしながら時刻表を確認しました。平日なのですれ違う人の姿はスーツや制服が目立ちます。お土産屋さんも、スーツケースといっしょでも歩きやすい程度には人がまばらで、なんだか後ろめたい気持ちと単純に仕事が山積みだったのでコワーキングスペースを利用しました。弁護士さんが個室を使って、しきりに電話をしています。これって守秘義務とかどうなっているのかしら。なんだか、自分に関係のない電話の声が、オフィスワークをしていたころを思い出させました。あの環境を辞めてから半年が経過しています。

 

コワーキングスペースを出ると、暖かいような涼しいような陽気。太陽は出ていたので、日焼け止めを塗ってきて正解でした。向かったのは、駅前通りにある古書店。店前まで来ると、行きがけの大雨のなか、軒先で電話をさせてもらったお店だとわかりました。

 

本当にバタバタの出張でした。電車の乗り間違えとわたしのうっかりミス。どうしても諦めきれずトンボ帰りも辞さない覚悟で、駅前のレンタカーをしらみ潰しにあたりました。この見知らぬ街の大雨のなかを、一生懸命走りました。出張の目的は達し、うっかりミスも無事回避。でも遅刻と中抜けでご迷惑をかけてしまったし、宿泊先のゲストハウスは3人の相部屋で、なんだかずっと気を張っていたように思います。

 

ゆっくりと古書店を見てまわって、駅について釧路ザンギとまりもアイスなるものを買って、鈍行で十勝まで。3時間くらいある旅で居眠りと仕事を繰り返していると、だんだん窓の外が暗くなってきました。十勝平野の向こう、山の間に沈む夕陽。蛇行した石狩川も、赤に染まっています。それを見たとき、旅をしている気持ちになりました。仕事が目的の出張だけれど、これは間違いなく旅でした。