ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

だからわたしは恋人ができない

朝起きた瞬間から、もうダメだと思いました。

すべてが無駄で、もうこれ以上頑張っても、未来は何ら明るいはずがないと思いました。どこかのなにかで、朝起きてすぐの感情が絶望であればそれは鬱だと読んだ記憶があります。ならばもう、朝目覚めて布団から身体を起こして、3歩歩いてうずくまってしまったわたしは鬱です。そういう名前がつかなければやりきれないほど「ダメ」な朝でした。

 

その朝から3日経ったいま思うと、わたしは鬱でもなんでもない、完全にホルモンバランスの乱れの最中にあったと思います。翌日は日曜だというのに朝6時から起き出して筋トレをして用事を済ませ仕事に勤しんだのですから、その症状が鬱であってはたまったもんじゃありません。ホルモンバランスの乱れによる情緒不安定。生理前にはよくあること。わたしはいつか、生理に殺されるのだと思います。

 

しかし絶望の最中にある当の本人には、その感情がどこから湧き上がってくるものなのか皆目見当もつきません。ただただ絶望にすっぽりくるまれながら、声を上げれば嗚咽になる涙を流し、じっと身体を小さくしました。これはいけない、どうにかしなければならない。どこかで警鐘が鳴らされます。どうにかしなければならないけれど、どうすればよいというのでしょう。友だちに話を聞いてもらう?家族を頼る?恋人に連絡をする?そのどれも、正解ではないように思いました。特に3つ目、恋人なんていまのわたしには手立てすらありません。でもここで、可能性のある人に可能性のある連絡をすれば、何かが始まるだろうことは絶望の最中にいるわたしでもわかりました。ただ過去のメッセージを見返して、どうしよう、いやでもと繰り返すだけで、太陽はすっかり上り、沈んでいきました。わたしは考えあぐねて眠り、目が覚めてもふかふかの布団を目深に引き上げて目を瞑ることを繰り返しているうちに朝を迎えました。

 

翌朝。

すっかり気を持ちなおしたわたしは昨日の自分をふりかえって、だからわたしは恋人ができないのだとしみじみ思ったものでした。