ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

朝のドライブ

朝です。

何度かの二度寝を繰り返した自覚はあります。冬の遅い日の出でも、日当たりサイアクワンルームでも、室内はすっかり明るい朝です。目覚ましでもない、日差しでもない、なぜ目を覚ましたのだろうと思っていると、どこかからごうんごうんと大きな音。飛び起きました。そうだ、きょうはゴミの収集日。時計を見ると、収集時間の2分前。

 

燃えるゴミ、生ゴミ、カン、ビンのゴミ袋をザッと集めて玄関ドアを開けると、ごうんごうんいっていたのは小型除雪機。アパートの除雪を請け負うおじさんがこちらを見ていて、慌ててフードをかぶって寝癖を隠してから、駐車場前に設置されたゴミ捨て場にゴミを放り込みました。ふりかえると、おじさんはちょうど我が家の玄関ドア前を除雪中。ちょっと考えてから、車に乗り込みエンジンをかけました。朝のドライブです。

 

わたしは在宅ワーカーなので、基本的に車は停めたまま。駐車スペースまできれいに除雪してもらうには、除雪おじさんの来訪をうかがって車を移動させなければいけません。いつもは近くの商店街の駐車場に停めたり、買い物がてら市内をまわったりして時間をつぶすけれど、きょうは起きて着の身着のまま。寝癖もなおっていなければ、家と車の鍵とケータイしか持ち合わせていません。市内をぐるっと一周したのち、隣町までドライブすることにしました。

 

白波が幾重にも重なって模様を描くのを横目に、海沿いの道を走ります。空はうっすらと雲がかかって、薄いところと濃いところで灰色のグラデーションをつくっていました。海は青みたいな緑みたいな色をして、でも、なんだか陽の光が明るく感じられました。

札幌ナンバーの乗用車や赤い軽自動車を乗せたキャリアカーが走って、社会は動いているのだと実感します。びゅんびゅん強い風に吹かれながら、道路工事のおじさんが赤い警棒をふっていて、小さな街の小さな家から顔を出したおばあちゃんが、通りがかりのおばちゃんと何やら話をしていました。

 

いつもなら、日当たりサイアクワンルームで起き出して、寒い寒いと腰に毛布を巻きつけて1人のそのそと仕事をする時間。わたしの見えないところは明るくて、しっかり機能しています。