ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

終わること、始まること、選ぶこと

すべて納得したように、こんな文章を書きました。 hotohoto.hateblo.jp 「終わりよければすべてよし」とはよくいったもので、終わらせて始めてみてもなんとか無事に生きているのでこんなことが言えたけれど、やっぱり、選ぶことは痛い。痛いということを思い…

終わること、始まること

9月だ。 好きなタレントさんが今月のイベント情報を出していて、気付きました。友だちの誕生日が来たし、虫の声が耳障りなキリギリスからころころ鳴くスズムシに変わったし、夜の風が冷たくなりました。今年が始まって3分の2が終わったし、わたしが仕事を辞…

最近の悩み

「ひさしぶり。覚えていますか?」 ひかえめなメッセージ。インスタでもツイッターでもなく、フェイスブックのメッセンジャーでした。 「たまたまあいちゃんの投稿を見つけて、懐かしくなってメッセージしてしまいました。迷惑だったらごめんなさい…」 小学…

きらきらのお砂糖

どうしても、パンを食べたくなることがあります。 パンについて語らせたら、仲のよい友だちもちょっとひきつった笑いを浮かべるほど、パンに対する熱量は高めです。どうしてもどうしても、パンがたべたい。それが、きのうのお昼でした。 昼すぎに用事を終え…

出張だけど旅

「JRまで少し時間がある」 朝イチでランドマークになっている建物を見て、お土産を買って、市場を見て、駅前のコワーキングスペースで休憩がてらに仕事をしながら時刻表を確認しました。平日なのですれ違う人の姿はスーツや制服が目立ちます。お土産屋さんも…

天候、晴れ

「晴れてよかったね」 彼女が言いました。背丈の1.5倍はあるひまわりと一緒に写真を撮ってくれとねだるわたしに、バシャバシャと十分すぎるほどシャッターを切ったあとのことでした。 北海道の右下への出張を終えて、十勝に暮らす友だちを訪ねました。大学で…

誰も傷つけないツッコミを

中学生のころ、お笑い芸人を目指していました。半分冗談で、半分は本気。当時仲のよかった友だちと、地域で1番偏差値の高い高校を志望して「もしダメだったら札幌吉本の門戸を叩こう」と約束したのでした。それほど、わたしたち2人は何気ない会話を重ねて、…

ゲストハウスの夜

「十勝の峠を越えて目の前に平野が広がったとき、ゼルダのゲームで見たあの感覚があって、興奮しちゃったんですよね」 ゲストハウス。消灯後、キッチンのカウンターにつけられた2つのペンダントライトだけが灯って、それを囲んだわたしたちの顔に不思議な影…

魔法の街

映画「千と千尋の神隠し」のワンシーン。人の影もない抜け殻みたいな街に夜の帳が下りると、ふわっと明かりが灯ってどこからともなく人がわいてくる。その光景が、まさに目の前に広がっていました。 大きな街の飲み屋街に行きました。時間は午後5時。まだ陽…

古書店

晴れた日でした。その街にしてはめずらしく、朝からよく晴れていました。店先に出された本が、少し西に沈みかけたオレンジの陽を受けてカラリと気持ち良さそうでした。目の高さくらいまでの本棚には文庫本がギッシリとつめられ、その足元にも「ミステリ105円…

感謝して生きる

「女の人はな、時刻表が読めないんだ」 国鉄職員だった祖父が、母に言ったそうです。列車の発着時刻を聞いてくるのはいつも女性だと。だから、時刻表が読める女性は稀で、デキる女だと。母はそれを聞いて、少しムキになって時刻表の読み方を覚えたとか。でも…

よい週末

なんとはない週末でした。 ただ、友だちが遊びに来ました。本当に申し訳ないことにわたしの余裕がなくて、 「なに食べたい?」 「海鮮かなあ」 「なに見たい?」 「海!」 のリクエストだけ聞いて、あとは当日行き当たりばったり。隣町に行ったら初めて来た…

可哀想だね

「長女って可哀想だね」 西日の眩しい車のなかで、妹に言われました。夕方に差し掛かった国道の車通りはそれなりで、ひさしぶりの地元の空気を感じながら、ゆるくアクセルを踏みました。少しだけ開けた窓から熱くもなく冷たくもない風が入ります。でも助手席…

冷やされた部屋

今週のお題「冷やし◯◯」 実家の居間にはエアコンがついています。わたしが中学に上がるころに建てた家ですから、もう15年ほど前のこと。当時北海道の物件にエアコンは珍しく、新築の家に取り付けられたエアコンを見て「我が家も上流階級の仲間入りか」と誇ら…

実家に2週間

「あいの言い方、キツイんだもん」 お盆休みを過ごしていた実家でコロナの感染が発覚し、37.9°から38.9°の絶妙な発熱のなかで、絶妙に迫りくる仕事の納期に追われながら母に言われた言葉です。なんだかもう、このコロナ菌を保持したまま家を飛び出して、そこ…

コロナだった

コロナでした。 熱が出て、喉が痛くて、咳が出て、食べ物の味がわからなくなりました。生死の境をさまようほどではなかったけれど、さまよえないからこそツラい。2日ほど記憶がありません。1日中寝てました。仕事もせず、化粧もせず、着替えず、布団から出ず…

映画的映画

「でたよ、"映画的" 映画」 わたしが頻繁にその言葉を使うものだから、先輩が口の端を吊り上げて言いました。そうは言われても、わたしはその、映画にしか出せない映画たる魅力を表現する言葉をほかに知りません。映画的映画。それは実によく表現された創作…

ピンチのはなし

27年の人生にも、人生最大級のピンチがいくつかあります。それらはまさしく「人生最大級のピンチ」とラベリングして、話題フォルダに分類されており、 「なんか面白いはなしして」 なんて言われたときに取り出します。 絵に描いたような圧迫面接だった会社の…

君は永遠にそいつらより若い

朝5時。映画を観ていました。借りてきた映画を前日から連続で数本観ていたのですが、退屈なホラー映画に日付がかわったところで寝落ちして、朝4時に起き出して続きを観てやっぱり退屈だったとディスクを交換して、時計を見たら朝5時でした。見始めたのは日本…

3月の終わりに引っ越しをしました。坂の上の古い一軒家。そのうちの1室を借りて、シェアハウスをしています。思いかえせば、1階に住むのは初めてです。 はじめての引っ越しは都会のアパートの3階。目の前に板金工場と大きな通りの抜け道があって、ひっきりな…

こういう場所を

「暑いね!」 声をあげながら入ってきたその人は、特定の誰かに話しかけたわけではなさそうです。でも誰かしらが「そうだね」「暗幕だもんね」「扇風機はまわってるんだけどね」と返しました。男性も女性も、歳上も歳下も関係なく。 こういう場所をつくりた…

コインランドリー・ストーリー

今週のお題「最近洗ったもの」 冬に使っていた毛布や布団カバーを洗いました。我が家の物干し竿ではそれらをいっぺんに干すことができないので、コインランドリーへ。コインランドリーデビューです。 日曜日、午後7時30分。店内に人はいないけれど、大型の洗…

前向きな退職

「わあ!あいちゃん、髪切ったね!」 大学からの友だちと、1年半ぶりに会いました。コロナ禍で頻繁に行き来できなくなってから、メッセージのやりとりはしていましたが直接会うのは久しぶり。小柄な身体に落ち着いたブラウンの髪をつやつやさせる彼女の風貌…

楽しむ人

先週末、はじめてsupをしました。Stand Up Paddleboard、略してsup。日本海に面して立派なダム湖もある北海道の左上は、絶好のsupスポットです。国道を走っていると海にぷかぷか浮いている人の姿が見えて「初めてのことにはとりあえずなんでも挑戦したい」病…

スカート

「札幌ならいいけど…」 そう思い直して、持ち上げたハンガーを戻しました。深いスリットの入ったロングスカート。綺麗なデザインだけれど、買ったところであの田舎町で着れる気がしません。 そういうことがたびたびあります。服を買うときは札幌に行きますが…

わたしの街

都会には、人がひしめいています。たくさんの暮らしが交差しています。 友だちに会いに、都会へ行きました。駅前の居酒屋に入って、レモンサワーで乾杯。隣の席では女性とそれよりひと回りは下であろう男性が座っていました。お酒が進むごとに女性の口調はゆ…

「すこしふしぎ」からの卒業

今週のお題「SFといえば」 映画が好きです。 わたしにとってSFは「すこしふしぎ」なお話でした。はじめて観た映画がドラえもんだったので、ずっとその「すこしふしぎ」ワールドのなかにいます。往年の名作バック・トゥ・ザ・フューチャーやE.T.は日常の延長…

フェミニズム

「たぶん、男の先輩相手ならこんな言い方しないんだよ」 世のフェミニズム論争を耳にするたび、どこか他人事でした。女性に対する差別や不平等の解消を主張するフェミニズム。わたしも一応女なので共感することもありますが、現代はずいぶん生きやすいと思い…

デートは奢り割り勘論争

「デートは奢り?割り勘?」 男女関係について、よく取り沙汰されます。ほかにもデートにサイゼリヤはアリかナシかとか、食事に誘っておいてノープランは許せるかとか、男と女にはあれやこれやがあるようです。 わたしは、それらがSNSやメディアでとりあげら…

一人旅

旅をしたい。 旅をしながら、旅をしたいというのもおかしな話です。でもこの旅は、旅であって旅ではありません。だからやっぱり、ちゃんと旅がしたいと思いました。 ひさしぶりに出かけることにしました。わたしが暮らす、北海道の左上を縦断するスタンプラ…